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984:オランダ管轄・バタビア裁判/タイ・ラボン飛行場俘虜虐待事件
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    #-/   タイ・ラボン飛行場俘虜虐待事件
    第75飛行場大隊
     上村輝雄中尉・鹿児島
     正井政雄・
     本多初治郎伍長・愛媛・漁業・25歳1948/4/10銃殺
     久崎日出清兵長・千葉(26歳):1948/4/10銃殺


    上村輝雄中尉
    遺書
     大命の下に一身をかヘリみず邦家の為死力を尽し、遂に戦我に利あらずして終戦となり俘虜使用の廉で共に死刑を受けることとなりました「上村」であります。

     天にも地にも換へ難い御子息を預り乍ら私の業務監督不行届の為にかかる悲惨事に立ち至らしめました事は一命を以て償ひ難いことであり、余りに申訳なく深くお詫び申上げる事なのであります。

     戦ふ祖国日本の必勝を只管祈って飛行場勤務に精励しました事は、結局戦勝国の敵国にとりましては悪く解せられる結果となり、注意程度の殴打を針小棒大に作り上げての裁判、しかも戦勝の余力を背景とする一方的裁判の結果が今日の状態であります。

     御遺族の方々のことを考へるとき夜の眼も眠れない私でありました。
     法廷でもこの上村を極刑に処し他全員を有期刑にでもと涙ながら嘆願したのでありましたが、それは容れられずこの有様、全くお詫びの申し様もありません。

     正井、本田、久崎君は部隊に在っては他の模範となり性行共に将来を嘱望されてをりました。
     祖国日本の為にはその赫々たる功績も敗戦国の哀しさ、敵国に身を委ねる事になりました次第。
     現在本人らも至極元気で死を明後日に控へた人とも見えないで周囲の人をして驚嘆せしめてをり、皆様祖国再建が出来ました暁こそ彼らの忠霊も又その武勲と共に輝くのであります。

     御遺族の人々の心中又察するに余りありますが、この上は只何事も運命と諦めて故人の冥福を祈りつつ御供養第一に生活されんことをお願ひ致す次第であります。


    本多初治郎伍長

    4/7付け両親宛遺書
    ・・・灯の薄暗い独房で今此の便りを書いて居ります。
    私達の為に同じ運命の死を控えた戦友が最後の演芸会を盛大にやって呉れています。
    私も最後の声を張り上げて唄う心算です。
    父母上に届けよと願はしい気持ちで・・・。
    必ず届くでせう。
    私がいつも夕暮に家の裏の畠で沖を眺め乍ら歌を唄ったあの場所に私の姿を想ひ出して下さい。
    なつかしい場所です。
    屹度魂はあの場所にかへります。・・・

    4/7付け弟宛遺書
    ・・・かねて覚悟せし身なれど幾転戦武運拙く今日変転極まりないこの現実をみるに至った。
    総て敗戦の悲運に依って左右せられた一命とは云へ余りにも過酷である。
    これも時代の流れとあれば止むを得ん。
    これが俺の本来の姿である。
    ・・・最後に及んで俺の総てを信じてくれる肉親のある事が何より心強い。
    俺はこんな悲惨な生涯を終るけれ共自分自身の良心に決して恥じない行動を取った心算だ。・・・



    久崎日出清兵長

    遺稿
    ・・・神に誓って、正義人道のため、公正なる裁判であると宣言するも、現実は飽迄不公正にして復讐以外の何ものでもなく、勝者が正義であり敗者が不正義である。

    ・・・告発が100%の効力を有し、それによって運命の決する法廷に於て、私が如何に当時の状況を叫び如何に真実を話してもきき入れられず、POW虐待の汚名の下に死を宣告され朽ちる事は残念でありますが、過去一切の私の行動を返り見てなんら良心に恥ぢる事はなく、又結果として極刑を宣告されバタビヤの地に朽ちる私ではあるが、公判廷に臨んで告訴に対しては自分が実際に行った行為を余す処なく語り、悔ゆる所なく話し切った点には自己満足し且吾れながら巧く行ったと喜んで居る。
     私の行為の凡ては、有期として生き残った戦友諸兄が精細に知って居てくれる。

     変化に富んだ二十七年の生涯を終るに及んで、私は大東亜戦争の渦中に身を投じ陸軍軍人の末席を汚し得た事に無上の喜びを感じて居る。
    【2012.06.13 Wednesday 23:07】 author :
    | B級裁判 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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      【2019.04.06 Saturday 23:07】 author : スポンサードリンク
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