<< 869:資料…極一部が気付こうがモ〜手遅れ・・試練の韓日関係 日本の「脱韓国」、韓国は日本から“信頼できない競争者”と認識されている | main | 871:今谷、田原両氏「女性宮家」に賛成=政府がヒアリング開始 >>
870:戦犯裁判:中華民国管轄・広東裁判:第5号法廷/広州長堤三井倉庫爆破犯逮捕酷刑事件
0

    戦犯裁判中華民国管轄広東裁判

     

    第5号法廷/広州長堤・三井倉庫爆破犯逮捕酷刑事件


    起訴理由概要:広州中央地区憲兵隊西岡派遣隊勤務中、昭和20年2月下旬広州市長淀三井倉庫放火犯容疑者3名を逮捕し不法監禁の上取調べに当たり殴打酷刑を行なった後、正当な審判を経る事なく譚外1名を殺害せり。

    23軍中央地区憲兵隊・高谷厳水憲兵軍曹・大阪・28歳:46/8/8判決死刑>公報46/12/26>47/1/4確認>47/12/21(4/21)銃殺


     1945/2、チナ側の爆破テロにより広州市内にあった三井倉庫が爆破された。
     領事館警察が、中国紙に50万元の褒賞広告を掲載して情報提供を募った処、広州中央地区憲兵隊西関派遣隊・高谷厳水憲兵軍曹配下の中国人に密告があり、工作員4名を逮捕した。
     事情聴取後、工作員2名を「厳重処分」した事が戦犯として起訴され、担当した高谷厳水憲兵軍曹が銃殺刑となった。

     本件の留意点は、2点ある。

     日本軍は、その民族性から遵法意識は高かったのだが、満州警備の頃から正規軍相手とユ〜より強盗殺人強姦犯の匪賊相手が主体となり、正規の軍律会議開廷では追いつかず、現地部隊における「厳重処分」が慣例化してしまっていた。
     勿論一応の基準は定め、部隊長
    や憲兵隊の承認・命令を受けながら、軍律会議判決と同等の処分であったから違法性は低いのだが、無裁判を衝かれれば弱い。
     広州管轄第23軍においても
    「厳重処分」が恒常化していたのだが、問題は敗戦後に「厳重処分」秘匿命令が出された点にある。
     戦時に厳重処分を命じていた軍幹部が責任追及を免れるため敗戦後に
    厳重処分責任を末端将兵に転嫁したので、下級将兵のみが戦犯対象となり重刑を科される事となった。
     発令者の参謀か幹部が処分命令を認めていれば、受命者は無期以下で済んだ可能性がある。

     もう1点は、チナ人に特徴的なので、興味深い。
     密告を受けて西関派遣憲兵隊は男2女1の工作員を逮捕したのだが、取り調べにより密告者が工作隊長の少佐と判明し、彼も逮捕した。
     上部・中央地区憲兵隊長・牛山大尉は工作員4名全員の厳重処分を命じたのだが、
    高谷軍曹は、工作隊長は逆スパイ利用の為、女性工作員は殺害をためらったのか助命し、残り2名の男性工作員を厳重処分の為に中央地区憲兵隊に送致した。
     トコロが、女性工作員から「送致された工作員の大尉は自分の夫、助命してくれれば日本軍のために働く。」と嘆願され、
    高谷軍曹は助命に動くのだが中央地区の処分は終了していた。
     戦後、女性工作員の告発により
    高谷軍曹は戦犯起訴されたのである。

     
    スパイが爆破テロやったんだから処罰自体に違法性はないのだが、やはり無裁判処分が・・・というのは建前で、チナ裁判ではテロ実行犯逮捕という事実だけでも、報復裁判実施が一般的だった。
     とは言へ、
    高谷軍曹としては「厳重処分慣行」を主張したいトコロなのに秘匿命令が出ているし、有利証言の為だからといって処分実行者の中央地区憲兵隊同僚の名を出すわけにもいかず、独断処分ではなかったのだからせめて発令者の憲兵隊長の証人喚問を願い出てもチナ側は応じなかった。





    遺詠
     便りかく筆の走りもまどろしく
          消息待つ母の心おもへば
        
     夢の間も我行く道を教え給う
          御仏の姿忘れあへぬも
        
     刻々と去りゆく刻ぞ燈火の
          芯にも似たる我が生命かも

     白雲山の陰に眠れる我友の
          墳墓(おくつき)照らす春の月かも

     国の為人の為にも罪を負う
          我が身の姿知る人ぞ知る

     車座を組みて花札とり交はし
          遊び戯るわれら死刑囚

     春霞かかれる野辺に移管馬の
          遊び草喰む姿ぞ憐れ

     霜踏みて水汲む母の幻を
          夢に縋りて今宵いる吾

     黎明を告ぐる小鳥に目醒むれば
          紅染めし東雲の空

     夜風吹く鉄窓(まど)辺に寄れば
          かすかなる虫の啼く音に春のふけゆく

     小夜ふけてしじまに聞ゆ
          はるかなる蛙の声の窓に淋しき

     一雨毎に青に色彩る春の野を
          淋しく眺む今の吾身は

     春雨に更け行く獄の中庭に
          五燭の光塀を照し居り

     起出でて見上る空に悠久の
           日輪昇る今朝うるはしく

     国の為尽せし事の今の世に
           迎えられざる身の運命哀し

     吾も亦人の子として遂の日の
           迫り来るを淋しく思ふ

     臥所にて見上る鉄窓に斜めなる
           北斗七星は輝きてあり

     折り鶴を教へし母を偲びつつ
           紙折る吾の心不楽(さぶ)しゑ

     ちぎれ雲茜にそめて春の陽は
           獄舎の棟に今沈み行く

     囚舎(ひとや)ぬちせむすべもなく
          紙折りてたたみし鶴をそっと吹きたり

    (戦友・塚本氏処刑)
     遂の日は共にゆかんと誓いしに
           吾を残して天還りし君

     春雨に咽る流花を眺むれば
           せきくる涙とどめあへずも

     国の罪背負いて逝きし師の君の
           御霊行きませ御仏の許へ
      
    (昨夜遅く部隊長入獄・・・憲兵隊長の事ではない)      
     しじまなる夜の囚屋に足枷の
           響きも重く部隊長入り来る
          
    (処刑前夜)
     防人の過ぎ来し道を戦犯と
           して果つるなりその名は悲し



     「何れ判決書内容を御知りになると思いますが何れも事実無根事なのです。巌水は高谷家(大阪)よりの初の軍人として決して家名を汚したる如き行為毫も無し。然し軍人として戦の庭に死にたかったのです。平和の今日唯国基の護持に専念せし事が反対に罪となり冤罪に因り死す事は残念なのです。」

     「兄さんは現在国家の弥栄のため罪なき科に死す。泣いて呉れるな。流す涙があれば祖国復興の汗に廻して呉れ。呉々も頼む。兄さんはお前達に兄として何もしてやれなかったのが残念だ。許して呉れ。兄も入獄七ヶ月だ。次々と同囚は旅に出て行く。畜生!」


          辞 世
      われもまた醜のみ盾とかへりさく
        時機(とき)来りなば見事さかなん





     「事実無根」を疑問に思う方もいるかもしれんが、訴因の「容疑者3名を逮捕・不法監禁、取り調べに殴打・酷刑を為し、無裁判で2名を殺害した」・・・殴打・酷刑・殺害を言っているのだろう。
     密告状があるのだから拷問する必要がないし、密告者については簡単に供述したろうからね。
     また、何より殺害実行者じゃないから。

    【2012.02.29 Wednesday 23:13】 author :
    | B級裁判 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    スポンサーサイト
    0
      【2019.04.06 Saturday 23:13】 author : スポンサードリンク
      | - | - | - | - | - |
      この記事に関するコメント
      コメントする









      この記事のトラックバックURL
      http://stomach122.jugem.jp/trackback/870
      トラックバック